畑出勤を経て進化を遂げたS・Kの華麗な投球

 木造のプレハブ小屋の周辺には木片やバカになった釘やネジなどが其処場合中に散乱やる。工事の跡だろうか。妙に生々しかった。
 S・Kが自転車地点の直ぐ奥にある物置小屋からグローブと野球ボールを見つけ出してきた。そんな短時間で思い切り目聡く見つかるものだ。
「あっち、宝物の山っすよ」
「コレ、わたしにはどうかな」
 グローブはいよいよ嵌めてみると寸法が少なく、土手から掌中がはみ出してしまっていた。わたしは窮屈ミットで、いったいどこにそういう余力が残っていたのか訝しいほど、これでもかこれでもかとひっきりなしに投げつけて現れるS・Kの剛速球を受け続けた。マメの潰れたケ所は既に思い込みが無い。感覚では時速九十隔たり間近い火の玉を受けているうちに、私の左側は赤く腫れ上がって行く。それにしてもS・Kはなかなか筋が良さそうな投球恰好をやる。
 客間の入り口戸からT・Mが顔を覗かせている。
「もう一度入って大丈夫ぞ」
 T・Mの話しかけなどどちら吹く風の音とばかりに健二はからきしわたしに向かって投球し続け、キャッチボールを止めようとはしてくれなかった。http://www.fonfix.co/unaji-datsumo.html